2022/10/08 (SAT)

【実施報告】第3回立教サイエンスカフェ「小さなコケの大きな世界〜発生進化学者とたどる進化の旅路〜」を開催しました【SC教育・SCOLA SIP】

OBJECTIVE.

9月24日(土)立教大学 理学部 生命理学科 准教授そしてリサーチイニシアチブセンター副センター長の榊󠄀原恵子さんをゲストにお招きし、立教大学12号館2階リサーチコモンズにて、第3回立教サイエンスカフェ「小さなコケの大きな世界〜発生進化学者とたどる進化の旅路〜」を開催しました。
今回のカフェは、学年、学部の枠を超えて集まった、サイエンスコミュニケーション実践プログラム「SCOLA SIP」のメンバーである佐藤、大熊、岡本、專田、深山、水谷(グループ名:moss cafe)が中心となって企画・運営を行いました。
タイトルの進化の旅路にちなんで、3つのコンテンツ「植物の陸上進出」「立教大学のコケ散策」「コケテラリウム」を旅の経由地とし、コケに焦点を当てたサイエンスカフェを実施しました。

経由地1: 植物の陸上進出

司会の佐藤がイベント序盤から会場を盛り上げます

榊󠄀原さんの研究をもとに、コケを始めとした植物の陸上進出について参加者と共にたどりました。

「陸上にみなさんの知っている植物が存在しない世界、想像できますか?」
植物は約6億年前の陸上に存在していませんでした。
当時の地球を舞台に、水中に生息していた植物たちを主人公とした劇を用いて、植物の陸上進出に迫っていきました。

劇では、水中に生息していた植物たちが環境の変化によって「陸上進出し環境の変化に適応できた植物」「陸上進出したが環境の変化に適応できなかった植物」「そのまま水中に生息し続ける植物」に分かれていく様子を擬人化で表現しました。

劇の様子はこちら→(YouTubeリンク)
劇を見たうえで、劇内で陸上進出した植物に関して「なぜ水中に生息していた植物が陸上進出し生き延びることができたのか」という疑問をグループで話し合いました。
各グループから「光合成が関係するのでは?」「乾燥に強くなったのでは?」「紫外線が関係しているのでは?」などさまざまな意見が出ました。

良いチームワークが生まれました

植物の壮大な進化のお話は驚きに溢れていました

その後「なぜ水中に生息していた植物が陸上進出し生き延びることができたのか」という疑問を解決するべく、植物発生進化学に関する研究をされている榊󠄀原さんにお話を伺いました。
研究から見えてくる植物の陸上進出の歴史、陸上進出によって植物が新たに獲得した機能、また研究材料であるコケについて、moss cafeの水谷が聞き手となって質問を交えつつ進行しました。

この日の榊原さんのファッションは自身の研究対象である「コケ」のTシャツでした!

榊󠄀原さんの研究から見えてくるコケを代表する植物が陸上進出できた理由は、4つ!

1. 乾燥から身を守る保護化合物の合成能力の進化
2. 乾燥を防ぐ植物ホルモン「アブシシン酸」に対応する応答の進化
3. 微生物(菌根菌)との共生関係の成立
4. 世代交代の獲得

陸上進出できた理由をさらに詳しく知りたい方はこちら→Youtubeのリンク

参加者は「へぇ〜なるほど!」「おもしろい!」などさまざまな反応が見られ、榊󠄀原さんのお話に聞き入っていました。

質問コーナーでは、「当時と今では紫外線の量はどれぐらい違いがあるんですか?」という質問も出て、盛り上がりました。

研究内容のお話の中には、先生が名付け親となった「ヒメツリガネゴケ」や普段なかなかお目にかかることの少ないツノゴケを見させていただく貴重な時間もありました。初めて見るコケに参加者は興味津々な様子でした。

経由地2: 立教大学内のコケ散策

榊󠄀原さん「実は立教内にも様々な種類のコケがいます!」
という事で実際にどのようなコケが生えているのか知るために、立教大学内のコケ散策へと出発!参加者は、案内人と一緒にグループごとに立教内の4ヶ所のコケのスポットを巡りました。また榊原さんはそのうちの1ヶ所でコケについてお話をいただきました。
この日はイベントの開場時間まで大雨だったのにも関わらず、散策の時間だけ雨が止み、コケ日和となりました。

「この場所に何種類のコケがいると思いますか?」という問いかけに、「2種類?3種類?かな」と下に目線を向けて真剣に考えていました。

コケは雨が降ると元気になるそう

実際にコケを採取して見せてくれました

榊󠄀原さんからコケのお話に参加者の方も興味津々!
「このコケは梅ガムの香りなんです。もしお腹がすいたら嗅いでみてくださいね。」という言葉には参加者の皆さんが笑顔に。

経由地3: コケテラリウム作り

手前からハマキゴケ、ヒメジャゴケ、フタバネゼニゴケ、ジャゴケ

散策から帰ってきた参加者の最後の経由地はコケテラリウム作りです。コケテラリウムとはガラス容器の中でコケを育て、愛でる芸術です。立教大学内のコケが生育している様子をコケテラリウムで再現してみました。
使用したのは、立教大学内のコケ散策で見つけた4種類のコケです。
参加者はお手製の割りばしピンセットを器用に使いながら、オリジナルの小さなコケの世界を瓶の中に表現していました。

真剣にコケテラリウム作成中・・・!

完成したコケテラリウム

最終目的地: まとめ

榊󠄀原さんの考えるコケの魅力は……?

コケテラリウム完成に喜びも束の間、あっという間に最終目的地のまとめパートへ。たどってきた経由地で感じたコケの魅力をグループごとに話し合い、コケのキャッチフレーズを考えました。
参加者からは、「しぶとい」「思ったよりやるやん!!」「キリがない!」「愛デンティティ」とグループごとにさまざまなアイデアが出ました。

なんと榊󠄀原さんからもコケの魅力の発表が……!
「無限の可能性」
コケの研究をされている榊󠄀原さんだからこその奥深い名言でした。
榊󠄀原さんのコケ友は、「東京ドームのグリーンを全てコケにしたい!」という野望もあるそうです(笑)

最後はみんなでパシャリ・・・!

榊󠄀原さんからサイエンスカフェの終わりの言葉として、
「それぞれ今回のサイエンスカフェを通して、コケに対して感じたことは様々だったと思います。一人一人異なって感じたことが大切だと思うので、家に持ち帰っていただけたらと思います。」というお話をいただきました。


今回のサイエンスカフェのように、知らないことや普段気にしていないことを知ることで、新たな発見があるかもしれません。
作ったコケテラリウムを見たり、歩いているときに目線を下げたりして、今回のサイエンスカフェを思い出してくれると嬉しいです。






今回のサイエンスカフェにご参加いただいた皆様、ご支援・ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。またどこかでお会いできることを楽しみにしています。

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。