2022/10/13 (THU)

【実施報告】第4回立教サイエンスカフェ「虫学旅行 ~地理学者と味わう昆虫食と伝統文化~」【SC教育・SCOLA SIP】

OBJECTIVE.

9月28日(木)、立教大学文学部教授 野中健一さんをゲストにお招きし、立教大学12号館2階リサーチコモンズにて、第4回サイエンスカフェ「虫学旅行~地理学者と味わう昆虫食と伝統文化~」を開催しました。

今回のサイエンスカフェは、立教大学 理学部 共通教育推進室(SCOLA)がおこなうサイエンスコミュニケーション実践プログラムSCOLA SIPの1期生(市野川、狩野、亀井、瀧口、田中、望月)が主体となって企画・運営を行いました。

今回のテーマは「昆虫食」。最近、食糧問題の解決策として注目を集めている昆虫食ですが、今回はそのような観点からではなく、世界各地で古くから愛されている伝統文化という観点から、昆虫食について学び、語り合うカフェを実施しました。

本イベントのコンセプトは、「修学旅行」。
ゲストの野中さんと司会の田中さんを中心に、ラオス、メキシコ、日本(岐阜県)の3か国で親しまれている昆虫食文化を学び、実際に食べて語り合う旅に出ました。

修学旅行ならぬ「虫学旅行」の旅へ

ゲストの野中さん(左)、司会の田中さん(右)と一緒に「虫学旅行」の旅へ出発!

今回は、ゲストの野中さんと司会の田中さんを中心に、ラオス、メキシコ、日本(岐阜県)の3か国を目的地とし、そこで親しまれている昆虫食文化を知り、実際に食べて、語り合う旅に出ました。狩野さんが作成したハイクオリティなオープニング映像が流れ、本編がスタート。

修学旅行の必需品「旅のしおり」。旅行を盛り上げます!

亀井さんのアイデアがたくさん詰まった「旅のしおり」を片手に昆虫食を学ぶ旅へ出発です!

目的地1:ラオス

ラオスの市場では、肉・魚・豆、そして昆虫!当たり前のように昆虫が売られています。

最初の目的地は「ラオス」。
ラオスは、東南アジアのインドシナ半島に位置する内陸国。
なんとゲストの野中さんは本イベントの開催直前まで、ラオスへ行っていたとのこと。
そこで親しまれている昆虫食文化と、最新情報についてお話していただきました。

新鮮なカブトムシ、タケムシ、サゴムシ(左上から時計回りに)

お話の後は、野中さんが現地で買ってきてくださった新鮮な昆虫(サゴムシ・タケムシ・カブトムシ) をみんなで実食。

厨房から料理長がご挨拶

料理長の望月さんがメンバーと工夫を凝らして考えたオリジナルメニュー「ソルティータケムシ」「サゴムシの甘辛炒め」「温ヒメカブトムシ」を提供しました。

実食

はじめは恐る恐る箸を伸ばした参加者も、口に入れると「意外と食べれる!」「サゴムシがおいしい!」「タケムシはフライドポテトみたい」「カブトムシは鶏のささみ肉に近い味がする」といった声が聞かれました。


緑の腕章をつけた班長たちが対話を促進します

3種類の昆虫を実食した後は、各班に配属された班長(狩野, 亀井, 瀧口, 大熊, 専田)が対話を促進します。参加者の中には、昆虫を初めて食べたという人もいれば、何度か食べたことがあるという人もいました。各々が感じたことを共有し合います。

目的地2:メキシコ

カメムシは1日に10匹まで⁉へぇーとなるような意外な話に参加者全員が興味津々

第二の目的地は「メキシコ」。
昆虫食の印象が薄いメキシコですが、実は古くから昆虫食が親しまれている国の1つです。普段聞くことができない現地のお話に参加者も興味津々。野中さんのユーモア溢れるトークでさらに会場は盛り上がっていきます。
そして、ここでも現地の昆虫を実食します。
この回では、カメムシとチャプリンと呼ばれるバッタを提供しました。
カメムシを混ぜたサルサソースと、混ぜていないサルサソースをクラッカーにつけて食べ比べ。

美味しさにびっくり!班のメンバー同士打ち解け合い、笑顔と対話が増えていきます。

食べ比べてみると、よりカメムシの独特な風味が感じられ、「カメムシが入っている方がおいしい!」といった声が多くあがりました。
さらに、チャプリンは「エビの味に似ている!」といった声があがりました。

目的地3:日本・岐阜県

ジャケットを脱ぎ始めた野中さん。中はなんと蜂のオリジナルTシャツ!

そして、最後の目的地は「日本・岐阜県」。
今回は、岐阜県で受け継がれている「ヘボ(岐阜県の方言でいうクロスズメバチのこと)」の文化についてお話していただきました。

ヘボ抜きに全集中...!

ヘボに関する伝統文化のお話を聞いた後は、採れたてほやほやのヘボの巣を使って、「ヘボ抜き」体験。虫を「虫」としてではなく、「食材」として自分の手で摘んで食して欲しい、そんなメンバーの思いと、野中さんの協力のおかげで実現できたコンテンツです。
生きた幼虫を巣から取り出し、その場で調理。
本イベントで一番の盛り上がりを見せました。

美味しさがよく伝わってきます

収穫したヘボはその場でバター醤油で味付けをして提供しました。
野中さん、とれたてヘボのバター醤油炒めにご満悦。

帰路

リラックスした雰囲気で対話が進められました

いよいよ虫学旅行も終盤。
最後は、このイベントを通して感じた新たな驚きや“面白い”を共有。
参加者からは、「メディアではゲテモノ扱いされているが、意外と癖がなく美味しかった」「虫それぞれ味が違った」「思ったより悪くない!」といった意見が出ました。

最後は全員で、3,2,1,ヘボー!

参加者の意見を受けて、野中さんからもコメントをいただきました。

「昆虫食とひとくくりに言われることが多いが、昆虫それぞれに特徴があり、味わいがあり、おいしさがある。そこから料理の多様性や文化の多様性につながっていく。みなさんの文化の理解がもっと進んでいくと良いなと思います。」



今回のサイエンスカフェを通して、参加者それぞれに新たな気づきがあったかと思います。
多文化理解とともに、自分が抱いている思い込みを自覚し、今まで見えなかった選択肢が見えるようになる機会となれば嬉しいです。



今回のサイエンスカフェにご参加いただいた皆様、ご支援・ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。またどこかでお会いできることを楽しみにしています。

文:市野川 美桜(理学研究科 生命理学専攻 修士1年・SCOLA SIP 1期生)

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。