2022/12/14 (WED)

【実施報告】2022年度 豊島区立小学校教員向け研修会を開催しました【地域・研修】

OBJECTIVE.

共通教育推進室(SCOLA)では、豊島区・立教大学「教育連携」協定に基づき、豊島区小学校教育研究会理科部に継続的に参加しています。
そして2007年より、理科部の先生方向けに教員研修会を年1回実施してきました。
昨年度は新型コロナウイルス感染症対策のためオンラインでの実施でしたが、2022年度は3年ぶりに立教大学池袋キャンパスにて実施することができました。

【内容】 小学校教育における樹木調査の活用
【対象】 豊島区小学校教育研究会 理科部 教員
【日時】 2022年11月30日(水)14:00-16:00(13:45開場)
【場所】 立教大学池袋キャンパス
【参加者数】 21名
【出演者】古澤輝由、高橋良子

キャンパス内の樹木調査

開始早々説明もそこそこに、測定道具と記入用紙をもってご参加の先生方と一緒にキャンパス内の樹木調査に出発しました。

紅葉した木々の美しさを見ながら「鈴懸の径」を通り、第1食堂と2、3号館に囲まれたエリアに到着。
まずは樹木調査のデモンストレーションを行いました。
次に、先生方にも道具を持って調査をしていただきました。

今回の調査項目は主に6つ。
1. 胸高直径(DBH, Diameter at breast height):胸の高さ(約130cm)での幹の直径
2. 樹高:樹木の高さ
3. 樹冠幅:幹を中心とした枝の広がり、距離
4. 樹勢:樹木の生育状態、健康状態
5. 樹冠欠損率:樹冠形状における葉の占められていない割合
6. 日当たりの良い樹間面数:真上と東西南北の5方向のうち日が当たる数

イチョウの幹はとても太いので、先生方も協力しながら幹の直径を計測されていました。
樹冠幅の計測でも、どの位置まで枝が広がっているか確認する人、メジャーの目盛りを読む人、記録をつける人等、測定者の協力と連携は欠かせません。

樹木の測定が終わり実験室へ戻ったら、次は、今回の測定からどのような解析ができて何がわかるのかについてのお話しをしました。
今回お話ししたのは、i-Tree Ecoという樹木の分析や評価をするソフトを使用した解析です。
この方法では、測定した樹木がいったいどれくらいの炭素量を固定しているのかを数字で見ることができたり、その社会的価値を日本円で表すことができたりします。
例えば、今回測定した樹木群が1年間に吸収し樹木中に固定できる炭素量を計算し、さらに「二酸化炭素の社会的費用(二酸化炭素を1t排出することにより将来にわたって人類社会が受ける被害額)」へと換算することにより、測定した樹木群がどれくらいの社会的費用を削減できたのかを示すことができるのです。

8/31に立教大学池袋キャンパスで実施した「おもしろサイエンスワールド2022」では、小中学生が50本以上の樹木について調査解析を行いました。その測定値を使って、炭素蓄積量と固定量、そして大気汚染物質除去に関する解析結果を確認しました。
最後に、小学校での教育プログラムに活用するとしたらという内容で先生方にコメントや意見をうかがいました。
豊島区は、都心にあるにもかかわらず、たくさんの樹木が植えられている小学校が数多くあります。
子ども達が自分の小学校の樹木を測定することで植物に関心を持つ、あるいは環境について学ぶといったように、さまざまに活用いただけたら嬉しく思います。
<追記>
今回の「樹高」の測定方法のひとつとして、折り紙や「木の高さ測定器」(エコシステムアカデミーのwebサイトにて提供されています)を使用してみました。
http://ecosystemacademy.jp/kids/sokutei.html

測定者と樹木の距離、樹木の頂点への仰角、測定者の身長(正確には目の高さ)から樹高を計算することで、算数や数学の学びにもつながります。

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